第112章

「堀田おばあちゃん、信じるか信じないかの問題じゃなくて、信じ難いことなんです」

天川隆也はため息をつくと、じっと佐藤玲奈を見つめ、淡々と言った。

「佐藤さん、証拠を出せるなら、あなたを信じますよ」

「出せないわ。信じるか信じないかはあなた次第」佐藤玲奈は肩をすくめて言った。

「……」

天川隆也は眉をひそめて佐藤玲奈を見つめ、それから翡翠の花瓶に視線を移した。どう判断すべきか迷っているようだった。

堀田おばあちゃんは好奇心を抑えきれず、佐藤玲奈に尋ねた。

「玲奈、天川はこれのせいで、あんな風に……」

佐藤玲奈は少し黙った後、静かに答えた。

「その可能性は否定できないわ。でも天...

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