第156章

知奈スタジオの正面玄関で、佐藤成雄は中古車の中に座り、激しくタバコを吸いながら、陰鬱な眼差しでスタジオの扉を見つめていた。

どれくらいの時間が経ったのか、灰皿に吸い殻が十本以上溜まった頃、あの細やかなシルエットがようやくスタジオから出てきた。

佐藤成雄は目を輝かせ、すぐに半分吸いかけのタバコを消すと、車のドアを開けて降り、足早にその姿へと歩み寄った。

「玲奈」

突然聞こえた見知らぬ嗄れた声に、佐藤玲奈は一瞬戸惑った。

彼女はじっと目の前の憔悴し黄ばんだ顔色で、両鬓に白髪が混じる男を見つめた。しばらく見つめた後、ようやくこの男が自分の実の父親だと認識した。

佐藤玲奈は少し恍惚とした...

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