第165章

店主は様々な思いが頭を駆け巡るも、口に出す勇気はなく、ただ気まずく笑いながら少し距離を取り、堀田知也と佐藤玲奈が自由に玉彫りを選べるようにした。

佐藤玲奈は堀田知也に一瞥をくれると、店内をぶらぶらと見て回り始めた。店内には和田玉、沈香玉、漢白玉など様々な種類の玉彫りが並び、どの作品も生き生きとして、まるで息づいているかのような巧みな技で彫られており、名工の手によるものだと一目でわかった。

突然、佐藤玲奈は「花咲富貴」と名付けられた玉彫りの前で足を止め、うっとりとした表情を浮かべた。

この玉彫りは和田玉の原石から作られており、隣に並ぶ名工の作品と比べると、牡丹の彫り方がやや未熟で、花びら...

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