第175章

佐藤玲奈は少し離れたところに立っている白崎雪乃を見つめ、少し困ったような表情を浮かべていた。

彼女はため息をつき、電話に出た。

「もしもし」

「玲奈、雪乃はそっちにいるか?」

電話の向こうで、佐藤大樹が焦りを隠せない声で尋ねた。

佐藤玲奈はもう一度白崎雪乃を見上げ、「うん、いるよ」と答えた。

佐藤玲奈の言葉を聞いて、佐藤大樹はほっと息をついた。そしてすぐに「じゃあ、雪乃はいつ...」と続けようとした。

「兄さん」佐藤玲奈は佐藤大樹の言葉を遮り、淡々と言った。

「昨日、私と雪乃で一緒に食事してて、彼女がお酒を少し飲んで、家に帰りたくないって言うから、堀田家の実家に連れて帰ったの...

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