第189章

「おはよう」

佐藤玲奈は白崎雪乃の隣に座り、彼女の目の下にある隈を見つめて、不思議そうに尋ねた。

「雪乃、昨夜はよく眠れなかったの?」

「えへへ」白崎雪乃は恥ずかしそうに鼻をこすりながら答えた。

「うん、ちょっと寝床に慣れなくて。ベッドが柔らかすぎて、私には合わなかったみたい」

白崎雪乃が借りている独身マンションのベッドは固い板床で、その上にあまり厚くないマットレスが敷かれている。人が寝ると、下が冷たくて硬いだけで、普通の人なら慣れないかもしれない。

しかし白崎雪乃はこの硬い板床で十年以上も寝てきて、すっかり慣れてしまっていた。突然柔らかく快適な大きなベッドに変わると、逆に落ち着...

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