第196章

白崎雪乃は言葉に詰まり、佐藤大樹を鋭く睨みつけた。

「ないわよ」

白崎雪乃の言葉は断固としていたが、佐藤大樹は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「雪乃、屋台が好きなのは知ってるけど、今日は中で予約してあるんだ。今日はここで食べようよ」

佐藤大樹はそう言いながら、前に歩み寄り、白崎雪乃の手を取ってレストランの中へ導いた。

「え、ちょっと待って」

白崎雪乃は突然引っ張られて心の準備ができず、足元がふらつき、バランスを崩して佐藤大樹の胸に倒れこんだ。佐藤大樹はそのまま自然に彼女の腰に腕を回した。

「ここ、すごく高いお店じゃない。研究費、大丈夫なの?」

すでに店内に入ってしまったものの、白...

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