第21章

佐藤玲奈が錦繡山河図に関心を持ったのは、単にそれが彼女が修復した絵画だったからだ。

彼女は、田中老が1億円を費やして持ち帰ったこの古画が最終的に誰の手に渡るのか見届けたかった。

案の定、佐藤玲奈の予想通り、この絵の競売開始価格は1億円だった。これは田中老が絵画修復に支払った額と同じだった。

「1億200万!」

「1億1000万!」

「1億2000万!」

「1億2200万!」

入札の声が次々と飛び交い、古画の価格はみるみる上昇していった。あっという間に2億の大台を超え、佐藤玲奈は目を丸くして見つめていた。

佐藤玲奈は佐藤家も最初は入札していたことに気づいた。

しかし価格が2億...

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