第30章

堀田家の実家、堀田おばあちゃんは福田さんに夕食の準備を指示すると、玄関先に寄りかかって遠くを見つめていた。

しばらくすると、見慣れた車の影が視界に入ってきて、堀田おばあちゃんの目が輝いた。

「玲奈!」

「おばあちゃん!」

佐藤玲奈は車から降りるとすぐに堀田おばあちゃんの方へ駆け寄った。

堀田おばあちゃんは親しげに佐藤玲奈の手を取り、目を細めて微笑んだ。

「玲奈、今日はあなたの誕生日ね。福田さんにプレゼントを用意してもらって、部屋に置いておいたわ。食事の後で自分の部屋に戻ったら見てちょうだい」

佐藤玲奈はしばし呆然とした。彼女の誕生日?

そうだ、今日が彼女の誕生日だった。佐藤優...

ログインして続きを読む