第350章

 佐藤玲奈は八代倫也の言葉をあまり信じていなかったが、表情には一切出さなかった。

 「この欠片は太古の玉に由来します。祭祀の道具であり、鮮血に染まったことで僅かに邪気を帯びているのです。このような品を長く身に付けていれば、持ち主のみならず周囲の人間にも影響を及ぼします」

 佐藤玲奈は一言一言区切るように言いながら、探るような眼差しで八代倫也の顔を見つめ、その表情の変化を余さず観察した。

 この取るに足らない小さな欠片が太古の邪物であると聞き、八代倫也の顔色が微かに変わる。

 「現代社会に、そのような物が存在するのですか?」

 八代倫也は明らかに半信半疑だった。

 佐藤玲奈はそれ以...

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