第362章

「それならよかったわ」

白崎雪乃は自分のグラスにフルーツジュースを注ぎ足し、ふと視線を上げた。すると、佐藤玲奈が微かに眉をひそめて考え込んでいるのに気づいた。

「玲奈、何を考えてるの? すっごく真剣な顔して」

白崎雪乃は手を伸ばし、親友の目の前でひらひらと振ってみせた。

その言葉に、霧雨縁も不思議そうな顔で佐藤玲奈の方を向いた。

ぱちくりと瞬きをした佐藤玲奈は、好奇心に満ちた二対の瞳と視線を交わし、ふふっと微笑んだ。

「ううん、なんでもないの。ただ、急にあることを思い出してね」

言葉を区切り、佐藤玲奈は霧雨縁へと向き直る。その表情には、ほんの少しの躊躇いが滲んでいた。

「縁ち...

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