第365章

泥のように眠り続け、佐藤玲奈がベッドで目を覚ましたのは午後のことだった。

上体を起こし、ズキズキと痛む腰を揉み解しながら、事を終えてさっさと逃げたあの男を心の中で密かに呪う。

その時、ナイトテーブルに置かれたスマートフォンが唐突に震えだした。

「もしもし」

佐藤玲奈は眉をひそめて電話に出る。

「若奥様、霧雨さんがお倒れになりました」

電話の向こうから、福田の焦燥しきった声が聞こえてきた。

「えっ?」

佐藤玲奈は一瞬言葉を失った。

「福田さん、縁ちゃんのことをお願い。今すぐ戻るから」

「はい」

通話を切るなり、佐藤玲奈は腰の痛みも忘れて跳ね起きる。顔をしかめながらも急いで...

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