第375章

小野寺綾乃の涙に濡れた可憐な顔を呆然と見つめていた結城達真は、やがて小さくため息をつき、ハンカチを取り出して彼女に差し出した。

「綾乃、新居のリフォームが終わるまで、数日うちのマンションを使えばいい。俺は外に泊まるから、気兼ねしなくていいぞ。どうかな」

小野寺綾乃はハンカチを握りしめて涙を拭い、こくりと頷いた。

「行こう。まずはデパートに寄って、家具と日用品を揃えようか」

そう言って、結城達真は小野寺綾乃のスーツケースを引いて空港を後にした。しかし、彼の車に乗り込んだ途端、小野寺綾乃がふいに気変わりを見せた。

「先に本邸へ寄って、堀田のおばあさまのお顔を見に行ってもよろしいですか?...

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