第387章

「霧雨さん、もう上がりますか?」

爽やかな身なりをした、端正な顔立ちの青年が駆け寄ってきて、霧雨縁に向けて眩しい笑顔を向けた。

ちょうど入り口でタイムカードを切っていた霧雨縁は、振り返って青年に微笑みかけた。

「ええ。もうすっかり暗くなったし、夏野くんも早く上がって休んでね」

大学を卒業したばかりの夏野空にとって、今日はこの図書館でのインターン三日目だった。初日、ここに足を踏み入れた瞬間から、優しくお淑やかな彼女に一目惚れしてしまったのだ。そのため、出勤時も退勤時も、何かと理由をつけては彼女のそばに寄り、話しかけようとしていた。

「霧雨さん、今夜、ご飯をご馳走してもいいですか?」

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