第392章

トイレ前の廊下。その両端で、霧雨縁は向かい側に立つ顔を曇らせた男を呆然と見つめていた。

八代倫也がどうして……ここに?

一方、彼女の隣にいる男子は、この気まずい空気を読めていないらしい。好奇心に駆られたように振り返って八代倫也をちらりと見ると、霧雨縁の耳元に顔を寄せ、小声で尋ねた。

「霧雨縁、あいつの知り合いか?」

熱を帯びた息が耳たぶに吹きかかり、霧雨縁はハッとして、無意識に数歩横へずれて距離を取った。

それを見た男子は、遠慮するどころか、さらに手を伸ばして霧雨縁の腕を掴もうとしてくる。

「霧雨縁、なんでそんなに離れるんだよ……」

ドンッ!——

男子は弾かれたように霧雨縁の...

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