第406章

あの子のことなら、霧雨縁はとっくに聞いていた。八代倫也のやり方に賛同はできないものの、彼女だって天使ではない。エゴイズムもあれば、八代倫也の愛を独占したいという感情もある。

だからこそ、あの子の存在を知った時、霧雨縁の脳裏には一つの思いがよぎった。生まれてこなくてよかった、と。もし金木香織の目論見が成功し、あの子が産み落とされていたら、たとえ後になって真実を知ったとしても、彼女と八代倫也が結ばれる未来は絶対にありえなかっただろう。

「霧雨縁、あんた何を言ってるの?!」

金木香織は信じられないといった様子だった。以前、霧雨縁の身辺を調査したことがあった。計算高くない純真で善良な女なら、自...

ログインして続きを読む