第432章

高橋おじいさんがその件を口にしたとき、佐藤玲奈の脳裏にも、あの日のオークション会場の光景がよみがえった。

もともと高橋おじいさんは、出品物を玲奈に見てもらい、縁起のいい骨董をいくつか選んで旧友へ贈るつもりだった。だが、あの金彩画が出た瞬間、玲奈はその絵にまとわりつく違和感をうっすらと感じ取った。

だからこそ――人の手に渡って厄介ごとを招く前に、自分で落札してしまおうと思ったのだ。

ところが高橋亜里沙が割り込んできて、結局その絵は彼女に競り落とされてしまった。

その後はあれこれに追われ、金彩画のことはいつの間にか頭から抜け落ちていた。今になって高橋おじいさんに言われ、ようやく思い出した...

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