第436章

商業施設の最上階にあるカフェで、佐藤玲奈はコーヒーを口に運びながら、窓の外を眺めていた。

「玲奈、さっきから何見てるの? 外なんて、そんなに面白いものある?」

白崎雪乃が不思議そうに首をひねり、窓の向こうをのぞき込む。

「別に。何でもないよ」

佐藤玲奈は淡々とそう答えた。

白崎雪乃は眉を上げ、霧雨縁と顔を見合わせる。ふたりとも腑に落ちない、という表情だった。

それからしばらくして――。

玲奈は向かいのビルをぼんやり眺めていたが、ふと視界の端に、向かいのホテルの正面玄関から出てくる人影が映った。

小野寺綾乃。

距離があって表情までは読み取れない。けれど、様子がおかしいのははっ...

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