第437章

翌朝。佐藤玲奈が目を覚ましたとき、堀田知也はすでに家を出ていた。

隣で冷えきったままの寝具を、玲奈はしばらく見つめる。まぶたをわずかに伏せ、何かを噛みしめるように息を整えると、ひとりで身支度を済ませて外へ出た。

スタジオに着いて間もなく、結城達真から電話が入る。

「佐藤玲奈。昼、空いてるか? ホテルで席を取った。時間になったらスタジオまで迎えに行く」

通話越しの声は、電波のノイズに少し掠れて聞こえた。

「迎えに来るの?」

玲奈は思わず聞き返す。

「……ああ」結城達真の声が、どこか歯切れ悪い。「親父がさ。どうしてもって……。嫌なら無理しなくていい」

「嫌ってわけじゃないよ」

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