第438章

小野寺綾乃が泣いた。堀田知也もまったく気づかなかったわけじゃない。だが、どこか腑に落ちない。

仕事が上手くいかなくて泣いたのか?

だったら帰ってきちんと勉強して、新しい仕事に慣れる努力をすればいい。泣いたところで何が解決する。少なくとも、以前の自分はそんなふうに教えた覚えはない。

それに――。

堀田知也は卓上のスマホを一瞥し、表情を冷やした。

あの女、折り返しもない。いったい何をしている。

その頃、結城会長と食事を終えたばかりの佐藤玲奈は、そのまま半ば強引に会社へ連れていかれ、古董の小物をいくつも鑑定させられていた。

机の上に並べられた数十点の古董を見て、佐藤玲奈は思わず額に手...

ログインして続きを読む