第440章

佐藤玲奈は、ふっと言葉を失った。

「それが私と、何の関係があるの」

胸の奥が酸っぱく、ざらつく。平然を装ってみせても、ひそやかに澱んだ感情が、普段なら口にしないはずの言葉を突き上げた。

――これが、嫉妬……?

自分も、高橋亜里沙と堀田知也の過去に嫉妬しているのか。

私は、本当に堀田知也を――そこまで愛しているのか。

愛……?

「佐藤玲奈。本気で、俺と離婚する気なのか」

そのときの堀田知也の顔色は、今にも噛みつきそうなほど暗かった。

離婚? 別に、いいじゃない。

玲奈の脳裏に、不条理なくらい遠い――それでいて生々しい前世の夢が、唐突に蘇る。裏切られた痛み。人の道を外れた折檻...

ログインして続きを読む