第441章

深夜、結城達真はバーから泥酔したままふらりと出てきた。酒が入っているため運転はせず、タクシーで帰ることにする。

「鈴海マンションまで」

鈴海マンションは、いま小野寺綾乃が住んでいるマンションだ。

アルコールに痺れた頭のまま、結城達真は気づけば鈴海マンションのエントランス前に降り立っていた。

夜風がすうっと吹き抜け、骨に刺さるような冷たさに、酔いが少し引く。

「……俺、なんでここに」

見慣れた建物を見上げ、結城達真の瞳にかすかな翳りが差した。

薄情な女だ。

心の中で乾いた笑いがこぼれる。あの部屋のリフォームには、ずいぶん手間も金もかけた。綾乃が一人で少しでも気楽に暮らせるように...

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