第442章

帰るの?

佐藤玲奈はスマホの時刻を見た。搭乗まで、残り十五分。

「……」

しばらくして、佐藤玲奈は小さくため息をつくと、くるりと踵を返し、スーツケースを引いて空港を後にした。

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病院。木村直人は病室の外、廊下を落ち着きなく行ったり来たりしていた。

「木村さん」

短い呼びかけに、木村直人が顔を上げる。途端に目が輝いた。

「若奥様!」

駆け寄ってきた木村直人は、早口でまくし立てた。

「昨日、堀田社長が突然四十度の高熱を出しまして、そのまま意識を失ったんです。医師の話では胃腸の不調に加えて、ここしばらく休めていなかったせいで疲労が限界まで溜まり、いろんな不調が一気に噴き...

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