第443章

佐藤玲奈は堀田知也の漆黒の瞳を見つめたまま、ふっと意識が遠のぐような感覚にとらわれた。

なぜだろう。その幽い眼差しの奥に、冷たい空気をまとって独りで立つ少年の影を見た気がした。

胸が、理由もなくきゅっと痛む。

聞きたいことは山ほどあるのに、言葉は喉の奥で固まり、玲奈は一言も出せなかった。

――いい。今それを訊くときじゃない。

そう自分に言い聞かせながら、握った手にそっと力を込める。

その夜、二人はそれぞれ別の考えを抱えたまま、互いに口を開かないという妙な暗黙の了解だけは守り続けた。

翌日、木村直人が朝食を二人分提げて病室に入ってきたとき、目の前の光景に思わず固まった。

堀田知...

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