第453章

午後、佐藤玲奈は古い絵の修復を終えると手を洗い、作業場から出てきた。するとオフィスのソファに座っている少女が、視界に飛び込んでくる。

年は十七といったところ。幼い人形みたいな顔立ちに、大きな瞳。きらきらした視線の奥に、見過ごせない狡さが宿っていた。

玲奈は一瞬だけその子を見て、すぐにデスクの向こうへ回り込み腰を下ろす。普通の客だろう――そう思ったのに、どこかで見たような気がする。

「修復のご依頼ですか。それとも鑑定?」

引き出しから受付帳を出し、事務的に問いかける。

「……」

返事がない。しばらく待っても沈黙のままなので、玲奈は訝しげに目を上げた。少女はぱちぱちとまばたきしながら...

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