第462章

小野寺綾乃は、見ているこちらが胸を締めつけられるほどに泣きじゃくっていた。

以前なら、堀田知也に庇護されて育ったこの娘に、木村直人も多少の情けくらいは抱いたかもしれない。だが今、涙に濡れた小さな顔を見ても、こみ上げてくるのは嫌悪感だけだった。

「小野寺さん。堀田社長は、さっきあなたに一度だけ機会を与えました。捨てたのはあなた自身です」

木村直人は言葉を切り、革の鞄から書類を一枚取り出して、小野寺綾乃へ差し出した。声色は淡々としている。

「会社からの解雇補償に関する書類です。目を通してください。十分前の時点で、あなたは解雇されています。補償金は一時間以内に口座へ振り込みます」

「私を...

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