第487章

小野寺綾乃は慌てたように結城達真の手をつかみ、か細い声で訴えた。

「私が悪かった……結城兄さん、嫌いにならないで。もうあんなこと、言わないから……!」

結城達真は足を止めて振り返る。目尻を赤くして、今にも泣きそうな顔で見上げてくる綾乃。しばらく黙ったあと、結局――心が折れた。

「……行くぞ」

放っておけない。自分でも分かっている。

綾乃が弱さを見せ、縋ってくるたびに、俺は際限なく譲ってしまう――結城達真は心の中で苦笑した。

前を歩く結城達真は知らない。

その背中の後ろで、小野寺綾乃がどんな顔をしているのかを。

彼女は黙ってついていく。表向きは大人しく従順で、視線も落としている...

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