第49章

佐藤大樹は佐藤玲奈を高級レストランへ連れて行くことなく、古い路地に入り込み、小さな食堂で食事をすることにした。

「玲奈、この店は小さいけど、看板メニューの牛肉麺がなかなか美味しいんだ。食べてみない?」

佐藤大樹はメニューを手に取り、笑顔で佐藤玲奈に尋ねた。

「いいわ」佐藤玲奈は兄さんに微笑み返した。

すぐに二人分の牛肉麺が運ばれてきて、兄妹は食べながらなにげない会話を交わした。

「彼とはどうなの?」

佐藤大樹は名指しこそしなかったが、二人とも誰のことを言っているのか分かっていた。

「うまくいってるわ」

「そうか、それならいいんだ」

その後、二人は揃って沈黙に陥った。

佐藤...

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