第492章

小野寺綾乃は顔を上げ、堀田知也を見つめた。彼の瞳に宿る氷のような冷たさが、胸の奥をちくりと刺す。

「知也さん……」

「もうそう呼ぶ資格はない」

小野寺綾乃の顔色がさっと失せる。目の縁は赤く滲み、唇が小さく震えた。

「分かってる、分かってるの。もう許してもらえないことくらい……でも……」そう言い終えるより先に、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。

「ただ、お願い……結城兄さんには言わないで。やっと、やっと一緒になれたのに……」

「お前、本当に結城達真のことが好きなのか?」

堀田知也の冷えた声が、綾乃の言葉を断ち切る。

「わ、私は……」

小野寺綾乃は視線を揺らし、反射的に俯いて彼の詮索...

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