第500章

山の麓。風野司行は車内に座り、前方で堀田知也と言葉を交わしている従妹を見上げた。口元に、思わず嘲りの笑みが浮かぶ。

ほどなくして従妹は話を終えたらしく、こちらへ歩いてくる。顔色はひどく悪い。

「失敗か?」

風野司行は助手席のドアを開けながら訊いた。

「……ふん」

高橋亜里沙はドアを開けるなり助手席にどさりと腰を下ろした。黒い瞳には、悔しさと嫉妬が渦巻いている。

「知也を午後、私のために空けさせようとしたのよ。なのに、午後は“あの女”に付き合うって……! あの女がそんなに大事? 私のどこが負けてるの。Z市に戻ってきてから、知也は一度だって私をまともに見てくれない!」

――どこもか...

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