第509章

堀田グループ本社ビルの外、歩道の端で小野寺綾乃はひどくみじめな格好のまま立ち尽くしていた。頬には涙の跡が残り、行き交う車の流れをぼんやりと見つめている。どう動けばいいのかさえ分からない――そんなふうに、手足の置き場がなくなってしまった。

世界はこんなに広いのに、綾乃には身体の芯まで冷え切るような孤独だけがまとわりつく。どこにも自分の居場所がない気がした。

そのとき、けたたましい着信音が鳴り、肩が跳ねる。

綾乃は慌ててスマホを耳に当てた。

「結城兄さん」

受話口の向こうはしばらく沈黙したあと、結城達真が淡々とした声で言った。

「綾乃……泣いてるのか?」

「ち、違う」

綾乃は咄嗟...

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