第510章

雪城夢子は表情ひとつ変えないまま身を翻し、その場を離れた。スマホを取り出し、結城達真に電話をかける。

「結城達真。小野寺綾乃をちゃんと躾けて。次に私の前で騒いだら、今度はこんな生温い話じゃ済まさない」

数日後には雪城家で雪城祖父の大寿がある。夢子は祖父への贈り物を買うために外へ出てきただけだった。気分も悪くなかった――それなのに、小野寺綾乃が突然飛び出してきて、指を突きつけるなり「クズ」と罵ってきたせいで、一気に台無しだ。

その頃、結城達真は公園のベンチに座り、目の前の噴水をぼんやり眺めていた。

まだ胸の奥がぐちゃぐちゃで、考えてしまうのだ。小野寺綾乃は、いったい自分のことを好きなの...

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