第518章

「死んだわ」雪城夢子は氷のような声で言い放った。

「……え?」医師は目を見開き、申し訳なさそうに頭を下げる。「失礼しました」

雪城夢子は首を振り、医師をまっすぐ見据えた。言葉を噛みしめるように、一語一語、はっきりと言う。

「先生。手術の手配をお願いします」

「本当に中絶を? もう一度、考え直しませんか?」

医師は、細身で、しかし目だけは揺るがない少女を見て、痛ましげに息をついた。

「妊娠は女性の体にとって大きなことです。しかも初めてのお子さんでしょう。旦那さまを亡くされても……お二人の子を、形見として残そうとは思いませんか?」

「必要ありません」

形見、だって?

夜中、夢か...

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