第524章

オープンテラスのカフェで、高橋日菜は同級生と向かい合い、コーヒーを飲みながら他愛ない話に花を咲かせていた。

「ねえ日菜、あの人……日菜の従姉じゃない?」

同級生が突然、階下を指さして言った。

高橋日菜は首をひねって下を覗く。――やっぱり。背筋をぴんと伸ばし、細身の体をまっすぐ立たせ、怒りを顔に浮かべた女。あの高慢で自信家の従姉、高橋亜里沙に間違いなかった。

「ほんとだ。ひとりで何してんのかしらね」

高橋日菜は嘲るように口元を吊り上げた。

「日菜たちみたいに買い物じゃない? 従姉って婚約者いるんでしょ。なんか大きい会社の社長だっけ。婚約者と待ち合わせしてるとか」

ありえない。

...

ログインして続きを読む