第529章

佐藤玲奈はわずかに息をのむ。悪夢に沈んだままの男を、複雑な表情で見つめた。

やがて、玲奈はふっとため息を落とし、手を引っ込めようとする。だが、湿って熱い掌がその手をぐいっと掴んだ。

堀田知也がゆっくりと瞼を開く。細めた視線でしばらく焦点を探し、頭の中の眩暈が引いたところで、ベッド脇に座る相手を認識した。

「……おまえか」

知也は口の端をかすかに上げ、ゆっくりと手を離した。

途端に、部屋の空気が妙に張りつめる。言葉の居場所を失った沈黙が、短く流れた。

その沈黙をやり過ごして、玲奈は枕元のサイドテーブルへ視線を落とす。そこに並ぶ錠剤を見て、控えめに問いかけた。

「……具合、大丈夫?...

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