第54章

夕食の時間、食堂内は異常なほど静まり返っていた。

普段なら佐藤玲奈は堀田おばあちゃんと会話を楽しんでいるのに、今日は特別静かだった。

佐藤玲奈は俯いたまま、箸で自分の茶碗の中の食べ物をつついているだけで、一口も口にしていなかった。

堀田おばあちゃんはそれを見て、心配そうに尋ねた。

「玲奈、料理が口に合わないの?」

佐藤玲奈は我に返り、堀田おばあちゃんに微笑みかけた。

「いいえ、とても美味しいです」

そう言うと、自分の言葉を証明するかのように、佐藤玲奈は一切れの豚カツを箸で摘まみ、ゆっくりと噛みしめた。

堀田おばあちゃんは心配そうに佐藤玲奈を見つめ、次に眉をひそめ、何も気づかず...

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