第546章

「ほかの人なんて、いらない!」

高橋亜里沙は勢いよく立ち上がり、声を荒らげた。

「知也、どうしてそんなに平気な顔していられるの? 月明かりの下で、あたしたちがどんなふうに話したか忘れたの? 高校の修学旅行だって……F国の並木道を歩きながら、それぞれの夢の話をしたじゃない。あなたがそんな薄情な人だなんて、信じない! あ、あなた……!」

高橋亜里沙は震える指で堀田知也を指さしたまま、興奮で言葉が続かなかった。

佐藤玲奈は気まずそうに腰をずらす。ここにいる自分が、ひどく場違いに思えた。

なにこれ。二人の昔話を、私に見物しろってこと?

悪いけど、興味なんて一ミリもない。

「堀田知也、だ...

ログインして続きを読む