第548章

結城達真は、雪城夢子にそんな顔をさせたくなかった。

このところ、達真の脳裏から消えない。ベッドの上で見せた、あの表情の数々。情に溶けた媚びるような瞳、熱を帯びて赤くなった頬、しなやかな肌の感触、ふわりと鼻先をくすぐる髪の匂い。思い出すだけで体の奥がざわつき、欲が喉元までせり上がってくる。彼女を押し倒して、乱暴にでも自分のものにしたい――小野寺綾乃の前では、こんな衝動は一度も湧かなかった。

結城達真は理解していた。自分は雪城夢子に恋をしてしまったのだと。

「雪城夢子……少し、話せないか」

このまま他人みたいになるなんて、絶対に嫌だった。まして前に病院で見た、弱りきった姿が頭から離れない...

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