第549章

佐藤玲奈は階段を上り、鍵でドアを開けた。室内は真っ暗だ。靴を脱ぎかけたまま、背後の壁にあるスイッチを押す。ぱっと灯りがつき、部屋が一気に白くなる。

靴を揃えて顔を上げた瞬間、リビングに突っ立っている人影に心臓が跳ねた。

「堀田知也?」

家にいるなら、どうして灯りをつけないのか。しかも背中を向けたまま、呼んでも反応しない。

「堀田知也、何してるの?」

近づいて回り込み、正面に立ったところで気づいた。虚ろな目。額にはびっしりと冷や汗。そして手には、どこから持ち出したのかわからない指輪が握られている。

「堀田知也、聞こえてる?」

嫌な予感が背筋を走る。視線が指輪へ落ちた。どこかで見た...

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