第55章

「彼女はまだ承諾していないのか?」

金玉オークションハウスのオフィスで、田中老爺爺が手に二つの丸みを帯びた古玉を弄びながら、眉をしかめ、陰鬱な表情で中川助手を見つめていた。

「はい」中川助手は神経を集中させて言った。

「それに奇妙なことに、私が調査したところによると、その佐藤玲奈は元々佐藤家のお嬢様だったのですが、何故か佐藤家から離れてしまったようです。その後、古美術修復スタジオを開業しました。しかし、この佐藤さんの過去の学歴には、古美術修復に関する学習歴が一切ないのです。彼女のあの高度な修復技術は一体どこで学んだのでしょうか?」

田中老爺はそれを聞いて、眉をさらに深くしかめた。

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