第563章

堀田知也は、床の上をころころ転がっている空き瓶を一瞥し、淡々と言った。

「女ひとりのために、ここまで飲み潰れるのか」

「お前に何がわかる? 天才気取りの勝ち組に、俺の気持ちなんか――」

結城達真は酒臭い息を漏らし、ふらつきながら立ち上がる。抱え込んでいた瓶をそのまま口にあおろうとした瞬間、横から伸びた手がすっと瓶を奪った。

「もうやめろ。先に何か腹に入れろ」

「……は?」

そのときようやく、テーブルに置かれた箱に気づく。結城達真は鼻で笑い、堀田知也の隣にどさりと腰を下ろした。

「まさかだな。面倒ごと嫌いの堀田社長が、俺に晩飯とは」

弁当の蓋を開けると、好きなものばかりが詰め込...

ログインして続きを読む