第57章

「証拠が見つかったって?佐藤玲奈が?」

そんなはずがない!!

彼は確かに証拠を処理したはずだ。

しかも、あの時の女の子はスマホを見下ろすことに夢中で、彼の顔をはっきり見ていないはずだ。あの時、相手の手首を傷つけた小さなナイフは、道端のゴミ箱に捨てたはずだ。

常識的に考えれば、今頃はゴミ収集車でゴミ処理場に運ばれているはずだろう。

佐藤玲奈が言う証拠とは一体何なのか?

なぜか、中川助手の心には不安が忍び寄っていた。

田中老爺から最初に命じられた任務は、どんな手段を使ってでも佐藤玲奈に条件を飲ませることだった。

しつこく迫ったり、脅したり、甘い言葉で誘ったりしても相手が動じなかっ...

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