第572章

その夜。堀田知也が会社から戻ると、佐藤玲奈は茜谷未来の家で起きていることを彼に話した。

堀田知也は少し考え込み、ゆっくりと言う。

「……あの家の話は、俺も少し聞いてる。行ってもいい。でも——」

言葉を切ったまま、堀田知也は黙って玲奈を見つめた。漆黒の瞳の奥で、何かが静かに揺れている。

佐藤玲奈はぱちりと瞬きをして、落ち着いたまま視線を受け止めた。

しばらくして、堀田知也が小さく息を吐く。手を伸ばして玲奈を抱き寄せ、そのまま胸にしまい込むように抱いた。

「本当は一緒に行きたい。でも、こっちも誰かがいないと回らないし、祖母も一人にできない。……お前が一人で国外に出るのは、正直安心でき...

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