第574章

「二年前、ちょうど私は外で巡回公演をしていて、家にいなかったんです。兄はその頃に呪物を持ち帰ったんですか?」

茜谷未来は眉を寄せ、声を落として尋ねた。

茜谷の父は小さくうなずき、重たい溜息をつく。

「……ああ。玉の彫り物だったと思う。全体が血みたいに真っ赤で、見た瞬間ぞっとするような代物だ。礼人がそれを持ち帰ってから、性格ががらりと変わった。しかも、すぐ隠してしまって、誰にも見せようとしない。俺と母さんで由来が気になって『見せてくれ』と言ったら……礼人が激昂してな。部屋から追い出された。まったく……」

「佐藤さん、うちのこと、少し話してもいいかしら」

茜谷の母が静かに続けた。

「...

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