第576章

「うっ、痛っ……!」

「兄さん!」

「礼人!」

茜谷礼人が突然、頭痛に襲われたように身を折る。茜谷の両親と茜谷未来は、堪えきれず不安げに叫んだ。

「触らないで!」

佐藤玲奈が険しい声で未来を制し、ゆっくり立ち上がると礼人の前へ回り込む。用意していた破邪の符を取り出し、彼の首にそっと掛けた。

こんな強い破邪の符を描いたのは、これで二度目だ。正直、松本おばあちゃんが描くものに比べれば威力は落ちるだろう。それでも、今できることはこれしかない。どうか、この札で禍々しいものを押さえ込めますように。

しばらくして、礼人の呼吸がわずかに落ち着いた。

微かに肩で息をしながら顔を上げ、目の前の...

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