第580章

シャンデリアの光が揺れる宴会場。高橋日菜は退屈そうにテーブルへ突っ伏し、スマホを指先でいじっていた。

またしても愛想よく近づいてきた放蕩息子を適当にあしらい、日菜はついに我慢の限界を迎える。立ち上がり、その場を抜け出そうとした――その瞬間。

視界の端に、高橋亜里沙がどこかへ向かって歩いていく姿が映った。

日菜は少し考え、スマホをマナーモードにしてしまうと、気配を殺して後を追った。

喧噪から離れた、静かでやけに長い廊下。日菜は亜里沙が一室へ入っていくのを、この目で見届けた。

暗がりに身を潜め、しばらく待つ。様子を見に行くべきか迷った、そのとき――

扉の向こうから、何かが倒れたような...

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