第584章

堀田知也が目を覚ましたのは、三日後のことだった。

ぼんやりと瞳を開く。見慣れた天井。部屋には誰もいない。しんと静まり返った空気の中、窓の外から鳥のさえずりだけがやけに耳障りに響いていた。

眠っていた数日間、彼は悪夢の底に沈み続けていた。夢の情景は靄がかかったように曖昧だ。だが心臓を鷲掴みにされる恐怖と、息が詰まるような焦りだけは、嘘みたいに生々しい。

「カチャ」

ドアが押し開けられ、佐藤玲奈がゆっくりと入ってくる。堀田知也の漆黒の瞳と、まっすぐにぶつかった。

二人はしばらく無言で見つめ合った。やがて玲奈が、ほんの少し口元を持ち上げる。目には涙がきらりと滲んでいた。

「……目、覚め...

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