第67章

周防神田は佐藤玲奈の少し気まずそうな様子を見ても見ぬふりをし、テーブルからグラスを取って彼女に手渡した。

佐藤玲奈も断りづらく、笑顔で受け取るしかなかった。

「すみません、私お酒は飲めないんです」

「大丈夫ですよ、フルーツワインは酔いませんから、少しだけ飲んでも」

周防神田はずっと彼女に酒を勧めている。一体何をたくらんでいるのだろう?

佐藤玲奈は手の中の紫がかった赤色の液体を見つめ、ゆっくりと唇に運び、少しだけ口をつけた。

このフルーツワインは程よい酸味と甘みがあり、ほのかなアルコールと果実の香りがして、なかなか美味しい。

佐藤玲奈の表情が和らぎ、思わずもう一口飲んだ。潤った赤...

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