第68章

その一方で、佐藤梅子は大仕事を成し遂げたと自負して得意げにしていた矢先、佐藤成雄が慌てふためいて駆けてきた。

「ちょっと、あんたどこに行ってたの?あんたが見つからなくて、私が一人で周防社長に会わなきゃならなかったのよ」佐藤梅子は佐藤成雄を見るなり文句を言った。

「今はそんな話じゃない」佐藤成雄は額の冷や汗を拭いて尋ねた。

「優子を見なかったか?」

「優子?」佐藤梅子は眉をひそめた。

「ずっとあんたと一緒じゃなかったの?まさか、私の娘をなくしたっていうの?!」

「しっ、声を小さく!」佐藤成雄は辺りを見回し、誰も彼らに気づいていないことを確認すると、思わず安堵のため息をついた。

「...

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