第80章

堀田知也は何も言わずに、腕に少し力を入れて彼女をさらに強く抱きしめた。その強さは、衣服越しに彼の体の反応が伝わってくるほどだった。

佐藤玲奈は頬を真っ赤に染め、信じられないという表情で堀田知也を睨みつけた。声まで震えている。

「あなた……あなた……」

変態!

前はこんな人じゃなかったのに!!

あの冷静で寡黙な堀田さんはどこへ行ってしまったの?

堀田知也は唇の端を微かに上げ、佐藤玲奈の耳元に身を寄せて囁いた。

「奥さん、俺のどこが口ほど固いか言ってみてくれないか?」

佐藤玲奈は唇を噛み締め、何も言わなかった。赤面しながら彼を押しのけようとしたが、女性の力では男性に敵わない。力の...

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