第82章

佐藤玲奈はお茶にあまり興味を持っていなかったが、天川おじいさんがそう言ったからには、彼女の好奇心も確かに刺激された。

そこで、佐藤玲奈はフルーツティーにバラの花と緑茶を加えたものを注文した。

天川おじいさんは一生お茶を飲み続けてきたが、こんな不思議な組み合わせは見たことがなかった。彼のような伝統的な茶の愛好家の目には、この奇妙な組み合わせは少々反逆的に映った。

しかし佐藤玲奈が湯を沸かし、様々な茶葉を沸騰したお湯に入れると、茶の香りに包まれたフルーツの香りが茶器から漂い出て、嗅ぐだけで心が躍るような気分になった。

「この香りは特別だね」天川おじいさんは空気中のフルーツティーの香りを嗅...

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